名前: 有隣荘
読み: ゆうりんそう
有隣荘は大原美術館の創設者として知られる実業家の大原孫三郎(大原家七代目当主)が、病弱な妻寿恵子を気遣い、「家族のための落ち着いた住まいを」として建てられました。

有隣荘の設計を手掛けたのは薬師寺主計、明治神宮や築地本願寺の造営で知られる伊藤忠太と、大原美術館の礎を築いた洋画家の児島虎次郎が深く関わりました。有隣荘は和洋折衷でありながら三者それぞれの美的感覚がバランスよく調和した、おおらかで優美な名建築として高く評価されています。

庭は近代日本庭園の先駆者であり、平安神宮や山県有朋邸など数々の名庭園を手がけた庭師七代目小川冶兵衛によるものです。讃岐高松城のものであったという庵治の巨石を贅沢に配した明るい庭は、室内空間と見事に一体化した心地よい広がりを演出しています。

一般には長らく非公開でしたが、平成9年(1997)より年2回の特別公開を兼ねて有隣荘を会場とした展覧会を開催しています。平成21年(2009)の春、美術家杉本博司の提言にもとづいて、熊笹で覆われていた内庭は創建当時のすっきりとした形に復元されました。
ページ先頭へ ▲